『資金繰り表作成&活用マニュアル』

なぜ、現場への「号令」だけでは利益が増えないのか?

「もっと売上を上げろ!」
「経費を削れ!」
こうした精神論に近い指示では、一時的に数字は動いても、組織は疲弊し、持続的な成長は見込めません 。

財務コンサルタントとして多くの経営者を見てきた中で、利益を確実に増やす社長に共通しているのは、「P/Lを構造で捉えている」という点です 。

本記事では、具体的な改善手法である「お金のブロックパズル」の活用法を解説します。


1.P/Lを「お金のブロックパズル」で視覚化するメリット

複雑な損益計算書も、大きく5つの要素に分解して図解することで、事業の健康状態が一目でわかるようになります

  • 売上:すべての源泉
  • 変動費:売上に連動して動くコスト(原材料費、外注費など)
  • 粗利(売上総利益):付加価値の大きさ
  • 固定費:売上に関わらず固定で発生するコスト(人件費、家賃など)
  • 利益:最終的に残る果実

これらを面積として捉えることで、「どこにメスを入れるべきか」という経営判断が容易になります。

※上記「お金のブロックパズル」は、日本キャッシュフローコーチ協会理事 和仁達也氏が、
 「戦略会計STRACⅡ」(西順一郎氏)のSTRAC表を加筆修正したもの


2.実例:王将フードサービスの構造を分析する

実際に、上場企業の数字をブロック図に当てはめると、そのビジネスモデルが浮き彫りになります。

王将フードサービス(2018年3月期)の例を見ると、
・売上高約781億円 に対し、
・粗利率は約69.5% と非常に高いのが特徴です 。
一方で、
・人件費が約238億円(労働分配率43.9%) 
を占めており、高い付加価値を人件費に投じることでサービスの質を担保していることがわかります 。

貴社の数字をこのように図解したとき、競合他社や業界標準と比べて、どのブロックが「いびつ」でしょうか?


3.シミュレーション:利益を「3割増し」にする3つのレバー

あなたが、飲食業の社長だったら
「人件費を下げずに利益を3割増やしたい」と思ったら、あなたならどう考えますか?

一見難しそうですが、お金のブロックパズルの「レバー」を少しずつ動かすことで、無理なく実現可能です 。

【現状】

  • 粗利率:70%
  • 労働分配率:50%
  • 利益率:5%

【理想のシナリオ】

  1. 売上を1%増やす(客単価アップや購入頻度向上)
  2. 粗利率を1%改善する(仕入先の見直し、歩留まり向上)
  3. 労働分配率を1%下げる(業務プロセスの効率化、適材適所)

これらわずか1%ずつの改善を組み合わせるだけで、人件費の総額を減らすことなく、利益を約30%(利益率5%→6.58%)増やすことができるのです 。


4.具体的改善策のチェックリスト

ブロックパズルのどこを狙うか決まったら、次は具体的なアクションです 。

■ 売上・粗利を伸ばすレバー

  • 客数 × 客単価 × 購入頻度 のどれに注力するか決める
  • 仕入内容・仕入先の見直しによる原価削減
  • 業務プロセスの効率化による変動費圧縮

■ 固定費を最適化するレバー

  • 人件費:人事評価制度の見直し、役割分担の明確化による生産性最大化
  • その他費用:遊休資産の整理、過剰費用の圧縮、無駄遣いの削減

■ 投資とCFを改善するレバー

  • 設備投資内容の再検証
  • 業務オペレーション改善による運転資金投資の圧縮

まとめ

財務諸表は、過去を振り返るための「通知表」ですが、次の一手を決めるための「羅針盤」でもあります 。

1〜10億円規模の中小企業がさらなる高みを目指すには、社長自らが財務諸表のつながりを理解し、自社の「ブロックパズル」を自在に操れるようになる必要があります。

まずは自社の直近3期の決算書を並べ、ブロックパズルを描いてみてください。

もし「どこから手をつければいいかわからない」という場合は、財務コンサルタントとして、貴社の「隠れたレバー」を見つけ出すお手伝いをいたします。


次のアクションとして、まずは直近のPLから「粗利率」と「労働分配率」を計算し、P/Lをお金のブロックパズルのラフを作成してみることをお勧めします。お手伝いが必要であれば、いつでもお声がけください。