
【監修者プロフィール】
合同会社スタイルマネジメント 佐藤恵介
経済産業省 認定経営革新等支援機関
『資金繰り表作成&活用マニュアル』マネジメント社 2025年11月 共同著者
資金繰り改善、銀行対応(資金調達)、経営計画書作成、売上・利益改善などと支援する財務コンサルタント

『資金繰り表作成&活用マニュアル』
2025年11月 マネジメント社より共同出版
Amazonにて発売中
なぜ「繁盛店」の社長が夜も眠れなくなるのか
- 「利益」と「現金」の決定的な乖離:
損益計算書(PL)では黒字なのに、通帳の残高が足りない恐怖。 - 1億〜10億円規模特有の悩み:
店舗数拡大に伴う投資回収のズレ、本部経費の膨張、どんぶり勘定の限界。 - 本記事の目的:
財務コンサルタントの視点から、付け焼刃ではない「筋肉質な財務体質」を作る具体策を伝授。
しかし、飲食業は基本的に売上をキャッシュか、クレジットカード・キャッシュレス決済での回収となるので、他業種と比較すると回収の期間は短くなり、このことは資金繰りにとっては非常に好都合です。
1.【現場の真実】飲食業におけるキャッシュフローの構造的リスク
- 売掛金と買掛金のタイムラグ:
キャッシュレス決済比率の上昇(30%〜70%)による入金サイクルの長期化。 - FLコストの変動耐性:
原材料(Food)高騰と人件費(Labor)上昇が、ダイレクトに現金を奪うメカニズム。 - 減価償却費という罠:
多額の内装投資が利益を圧迫するが、実際の現金流出は既に終わっているという認識の整理。
2.資金繰りを可視化する究極の管理表「資金繰り表」
- 日次・月次・年次の使い分け:
- 日次資金繰り表: 毎日の現金過不足を確認し、支払いの優先順位を決める。
- 月次資金繰り表: 3ヶ月~6か月先までの「資金の谷」を予測する。
- 「資金繰り予定表」作成の3ステップ:
- 固定費(家賃・リース料)、銀行返済の確定。
- 変動費(仕入・人件費)を売上の一定比率で仮置きする。
- 消費税・源泉税などの「一時的だが多額の支出」をあらかじめ予約する。
3.【事例】1億〜10億円規模の企業が陥る「成長の罠」と克服策
- ケースA(多店舗展開の失敗):
新店投資が既存店のキャッシュを食いつぶし、本部の資金が枯渇。- 対策: 投資回収期間の厳格化と、不採算店舗の早期撤退基準(損切り)の策定。
- ケースB(原材料高騰によるキャッシュアウト):
利益率1〜2%の低下が、借入返済を不可能にする。- 対策: 棚卸資産(在庫)の圧縮と、即座の価格転嫁(メニュー改定)を断行する財務的根拠の提示。
4.資金繰りが苦しい時の「即効薬」と「根本治療」
- 即効薬(短期的、守りの策):
- 銀行交渉(リスケジュール):
返済猶予を申し出るタイミングと、銀行が納得する「経営改善計画書」の作成がポイント。 - 支払サイクルの変更:
仕入先への支払い延長交渉ではなく、カード決済の締め日調整や入金サイクル短縮サービスの活用。
- 銀行交渉(リスケジュール):
- 根本治療(長期的、攻めの策):
- ABC分析によるメニュー構成変更:
利益率が高く、在庫回転率が良い商品への集中。 - フリーキャッシュフローの最大化:
営業キャッシュフロー(経常収支:本業の収支)をいかにプラスに維持し続けるか。
- ABC分析によるメニュー構成変更:
5.金融機関との「正しい付き合い方」と資金調達
- 「雨の日に傘を貸してもらう」ために:
試算表、資金繰り表を毎月10~20日までに提出し、透明性を高める。 - 2026年最新の調達トレンド:
コロナ融資返済開始に伴う「借換保証制度」の活用と、プロパー融資への切り替え戦略。
6.専門家FAQ
- Q1:売上が上がっているのに現金が増えません。
- A: 売掛金の入金遅れや、見えない在庫増、または借入金の元金返済額が減価償却費を上回っている(持ち出し状態)可能性があります。
- Q2:リスケをすると次の融資が受けられなくなりますか?
- A: はい、リスケ中は次の融資は受けられません。計画通りの業績回復を見せることで、再度「攻めの融資」を受けることは可能です。放置して延滞するのが最悪のシナリオです。
- Q3:1億円規模の会社で、内部に財務担当を置くべきですか?
- A: 専任は不要ですが、社長の右腕となる事務局長または外部のコンサルタントによる「月1回の財務会議」は必須です。